不気味の谷現象

「不気味の谷」というものをご存じだろうか。
CGやロボットなど、人間を模したものを目にしたときに起きるのが「不気味の谷現象」というものである。

 

人間を模して造られたものの外観が、人間に近づけば近づくほど好感が持てるようになるが
ある時点で不気味だ気持ちが悪い、と嫌悪感に変わるタイミングがある。
それを越えると再び嫌悪感が好感に変わり、人間と同じような親近感を覚えると考えられている。
この、嫌悪感を抱くタイミングを不気味の谷と呼ぶ。

 

人間を模したロボットの見た目が、人間に似ていないと、人間的な特徴が目立ちやすくなるので親近感・好感を抱きやすくなる。
これがある程度人間に似るようになると、人間「ではない」部分が目立つようになってしまうので、不気味だと嫌悪感を抱きやすくなってしまう。
さらに、そこに動きが加わると不気味さが大きくなるとされる。
こういう場合、リアルすぎて気持ち悪い、という表現がよくされる。
また、音声などにも不気味の谷は存在すると言われている。

 

例えば、音声合成技術を使って、故人である美空ひばりの歌声を再現するという試みだ。
音声データから話し方をAIに学ばせ、美空ひばりの歌い方の癖のような情報まで投入し
最終的に、ほぼ完璧に美空ひばりの歌声を再現することができている。

ただそれを聞いていた人の中には、息遣いが変や、歌声はともかく歌い方が違うなどという違和感を持つ人もいた。
この違和感が、不気味の谷ともいえる。
3DCGを用いて、美空ひばりの再現もしていたようだし尚更だったのかもしれない。

 

そんな、不気味の谷を超えたとされているのが3DCGの「Saya」である。
日本の女子高生をモデルとした3DCGだ。
CGではあるものの、衣服から頭髪まですべてをデジタル化、瞬きや瞳と虹彩、人間独特の「揺れ」までもが表現されている。
パッと見ただけでCGだと言い切れる人はそういないのではないか、というほどの再現具合だ。
制作者と「Saya」が並んで写っている画像を見ても、一瞬「うん?」とはなってもそこまで違和感がない。

 

不気味の谷を超えないようにしているものもある。
VOCALOID(ボーカロイド)と呼ばれる音声合成技術がその1つである。
こちらは、人間の声をもとにして歌声を合成することができるが
合成をする時、あえて機械っぽくして出力しているのだという。

 

ちなみに噂だが、「とても」リアルなマネキンも存在しているのだとか。
人間から型をとっており、顔のしわまでもが再現されている(型取りの時には目を開けて取るらしい)。
あんまりリアルなもので、ディスプレイ用に服を着せようにも、ためらってしまほどリアルなのだそうだ。

 

リアル過ぎるとむしろダメだなんて、人間の感性はわがままだ。